ドブの底

汚い

    あなたはひどく真剣な様子で、信頼が必要だといった。わたしはそれを間違ってはいないとおもった。すくなくとも二人の間では、という意味において。だからわたしは、あなたのいう信頼というものを維持するために具体的に何か方法はあるのだろうかと気になり、そしてそれを実際にあなたにきいた。ことばで表す類のものではない。あなたがそう答えたことだけは、たしかにおぼえている。あまりにあいまいな方法をきかされ、わたしはそれについて考える必要が生じたため、あなたがつぎにどのようなはなしをしたのか、上手く記憶していない。

    ことばで表す類のものではない。ならば何によって表すことができるのか?ことばではない何かがわたしとあなたの関係を縛るのであれば、わたしはその状態から自由をかんじなければ意味がない。そういった自由なるものが機能しているかどうか、わたしにはわからない。けれど一つだけたしかなのは、あなたの部屋はいつも、人間が発するなかでもっともいきものらしいにおいを充満させていたということだけだ。