ドブの底

汚い

「小説は、書けても恥だが書けなくても恥にちがいない。」

 

 私の大好きな作家の、大好きな言葉です。

 曲がりなりにも何かを形にしようと思い、でも思うだけで言葉を書けない、言葉が出てこない。そんな毎日を繰り返しています。私はまだ、書くことも、「書けない」ということもできていない。その焦りが、気持ちを浮かせたり沈ませたりします。

 

 これまでのたいしたことのない人生を振り返ると、自分は根のない人間だと思うようになりました。ひとつところに留まれない、こだわりがない。どこへ行っても同じ。目の前の物事を、すぐに諦めて見送ってしまう。

 根のない生き物は腐ります。でも、腐るのもまたいいかな、とも思います。どうでもいい、どうでもいい。何もかもがどうなろうと構わない。そうして腐りゆく人間だからこそ書ける言葉が、もしかしたらあるかもしれない。

「小説は、書けても恥だが書けなくても恥にちがいない。」

 この言葉が真に指すものを、私は早く腹に落としたい。